不完全尿管閉塞による実験的水腎症に関する研究(第1報) : ラットの水腎症作成法について

概要

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ラットにおける新しい不完全閉塞水腎症モデルの作成法について検討した.一側尿管に瞬間接着剤α-cyanoacrylate monomer(アロシアルファA^6lt;[○!R]>)を1滴滴下した.水腎症の程度は,排泄性腎盂撮影と肉眼的観察によりgrade O〜IIIに分類した.同時に尿管完全結紮群および尿管の剥離のみにとどめた群を作成し,比較検討した.grade Iの水腎症は,1週目で20匹中14匹(70%)に,4週目で16匹中8匹(50%)に認められた.grade IIの水腎症は,1週目で20匹中4匹(20%)に,4週目で16匹中7匹(46%)に認められた.8週目まで観察した4匹はgrade II〜IIIの水腎症が認められた.尿管完全結紮群では 1週目よりgrade II〜IIIの水腎症が認められ,急速な腎機能の低下を示したが,長期間の観察では不完全閉塞例に比較して実質の菲薄化はむしろ軽度であった.尿管剥離のみにとどめた群では,腎機能,形態に変化は認められなかった.接着剤付着部尿管の断面像は,機械的不完全閉塞を示す所見であった.以上より,本法は現在までに報告されているラットの不完全閉塞水腎症モデルに比して手技が容易で比較的均一な水腎症が作成できる有用な方法と考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1981-08-20