精管および副睾丸の自律神経支配の精管切断術による変化に関する実験的研究
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概要
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精管切断術による精管と副睾丸の自律神経支配における変化を明らかにする目的で,ラットを用い組織化学的方法と薬理学的方法により実験的研究を行なった.1側精管を切断し対側は対照とした68匹と,1側精管を結紮した38匹の計106匹のラットを使用した.それぞれ5〜9匹を術後1,2,3,4週後と,2,3,6ヵ月後に屠殺して副睾丸と精管を摘出し,その自律神経支配について,組織化学的にはFalck-Hillarp法により交感神経節後線維,El-BadawiおよびSchenkのKarnovsky変法によりacetylchoinesterase陽性線維の分布を観察し,薬理学的には生体外での摘出精管の張力測定法により,精管の自律神経系薬物に対する感受性を検討した.得られた結果は以下のごとくである.1)精管の切断や結紮により,同部より睾丸側の精管と副睾丸尾部は,術・週後には除神経された.2)精管結紮後では自律神経支配の再生は術後2週後以内に開始され,精管内は1ヵ月間に約1cmの速度で自律神経線維が再生したが,精管切断後では自律神経支配の再生開始は遅延しており,6ヵ月後でも自律神経支配の再生を認めない例がみられた.3)精管に再生した自律神経線維の分布は,筋層においては対照側と類似した分布を示したが,粘膜下層におけるacetylcholinesterase陽性線維の再生は,対照側の密な分布に比し粗であり障害されていると考えられた.なお精管と副睾丸の自律神経支配における精管切断術による変化の臨床的意義について考察した.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1981-10-20
著者
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