異所性尿管瘤を伴った逆Y尿管の1例
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概要
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29歳の男性.二段排尿と残尿感を主訴に入院した.膀胱鏡上,正常の乏尿管口と膀胱頸部の間に尿管瘤が見られた.排泄性腎盂造影では,膀胱内に経時的に大きさの変化する嚢胞状の陰影が見られ,さらに左下部水尿管が認められた.逆行性腎盂造影では,膀胱の上方で逆Y字型に分岐する左尿管が造影され,一方は水尿管の像を呈していた.開腹術中所見にて,異所性尿管瘤を伴った左逆Y尿管であり,一方は尿管瘤内に他方は三角部に開口していることが明らかになった.尿管瘤切除術を施行した.術後の排尿時膀胱造影で膀胱尿管逆流は認められず,現在患者は正常に経過している. 逆Y尿管は最も稀な尿管奇形であり,文献上36例の報告を見るのみである.これらのうち記載の明らかな26例に自験例を加えて集計した(男性10例:女性17例,平均年齢23歳).合併奇形として,尿管異所開口6例,盲端尿管6例そして尿管瘤5例が含まれていた.本疾患の症状は,その合併奇形に依存することがわかった.自験例は世界の文献上,異所性尿管瘤を伴った逆Y尿管の第5例目であった.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1992-10-20
著者
-
柳 重行
千葉泌尿器腫瘍研究会
-
高野 學
原村医院
-
鈴木 啓悦
千葉労災病院泌尿器科
-
柳 重行
千葉労災病院泌尿器科
-
並木 徳重郎
千葉労災病院泌尿器科
-
高野 學
原村医院泌尿器科
-
並木 徳重郎
千葉労災
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