経尿道的前立腺切除術対象患者における術前系統的前立腺生検についての検討

概要

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(目的)経尿道的前立腺切除術(TUR-P)前の系統的前立腺生検の臨床的意義について検討したので報告する.(対象・方法) 1994年7月から2000年6月までに,当院にて臨床的に前立腺肥大症(BPH)と診断しTUR-Pを予定した症例は456例であった.(結果)そのうちの218例では,血清前立腺特異抗原(PSA)が4.0ng/ml以上であったため術前に生検が行われ,22例(10.1%)で前立腺癌が検出された.TUR-P前の生検で検出された前立腺癌22例と,術前生検陰性でTUR-Pでも癌を認めなかったBPH189例との間では,年齢(p<0.05)・前立腺容積(p<0.0001)・PSA density (p<0.01)に統計学的に有意な違いが認められた.(結論)TUR-P前の生検による前立腺癌の検出率は約10%の低値であり,かなりの数の患者で術前生検を省略できると考えられた.今回の結果からは,前立腺容積が60ml以上,もしくはPSA densityが0.15以下の症例では,TUR-P前の生検は省略できる可能性が示唆された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2004-03-20