腸管利用尿路変向における水・溶質代謝の長期観察と利尿の影響 : 4年経過した一側回腸導管モデル犬において
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概要
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(目的)尿路変向患者では尿路に介在する腸管によって水・溶質バランスに影響を受ける.この影響が経年的に変化するか否か,その軽減のために利尿状態が有効かどうかについて検討した.(対象・方法)メス雑種犬8匹の右腎側に20cmの回腸導管を作成.2ヵ月後ストーマ尿と膀胱尿をそれぞれ3時間分採取し,水と溶質の分析を行った.また,術後4年経過したイヌ4匹に再度同様の観察を行った.さらにイヌ6匹に対し,水・溶質代謝に及ぼす利尿の効果について観察した.(結果)水は浸透圧依存性に回腸導管から再吸収または分泌され,4年後にも変化は認めなかった.回腸導管を通過した尿の溶質量と浸透圧は経過期間を通じて対照側より常に低かった.回腸導管の介在によるクレアチニンクリアランスの低下は術後2ヵ月,4年でも認めなかった.回腸導管において乏尿状態になると水の分泌と溶質の再吸収が増加し,クレアチニンの再吸収もみられることが判明した.(結論)一側回腸導管を作成したイヌモデルによる実験的観察で,術後早期と4年経過後における水・溶質バランスに有意な変化は認められなかった.腸管利用尿路変向において利尿状態を維持することは,溶質の再吸収を軽減するため有効と考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 2003-11-20
著者
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