10歳台にみられた膀胱移行上皮癌の2例

概要

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小児および若年者に発生する膀胱移行上皮癌は極めて稀である.今回,われわれは,いずれも17歳女子に発生した膀胱移行上皮癌の2例を経験したので報告する.1例は1974年に血尿を主訴として来院した.膀胱癌の診断で膀胱部分切除および右膀胱尿管新吻合術を施行した.組織学的には,TCC,PNT,G_2であった.2例目は,1984年6月に同じく血尿を主訴として受診し膀胱癌の診断で,TUR-Btを施行した.組織学的には,TCC,PNT,G_2と診断された.2症例とも現在のところ再発は認められていない.一般に若年者の膀胱移行上皮癌は,1)低頻度,2)予後良好,3)低再発率,4)低悪性度とされている.国内報告例で17例中2例の再発,転移例があった.われわれが自験例を含め本邦報告例をまとめたところによると,膀胱全摘術1例(5.2%),膀胱部分切除術7例(36.8%),TUR-Bt又はTUC-Bt 8例(42.1%),手術施行せず1例(5.2%),不明2例(10.5%)であった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文