表在性膀胱腫瘍に対するBCG療法とアドリアマイシン膀胱内注入の臨床比較研究 : 米国南西部泌尿器科研究班の経験
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概要
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総数162例の表在性膀胱腫瘍患者が,BCG注入療法の有効性をアドリアマイシン膀胱内注入と比較する目的で無作為に臨床検討された.患者は,全例3ヵ月毎の膀胱鏡,尿細胞診及び膀胱生検により腫瘍の再発の有無について観察された.固有粘膜層を越えない腫瘍の104例の内,経尿道的切除後BCG療法を受けた52例の腫瘍再発率は,12例(23%)とアドリアマイシン治療52例中の34例(65%)に比し,有意に低く(p<0.001),而もその再発迄の期間もBCG治療群で有意に延長していた(p=0.001).一方,上皮内癌(Carcinoma In Situ)の58例において,30例のBCG投与を受けた22例に腫瘍の消失を認め,その反応率は,アドリアマイシン注入群の28例中僅か8例にのみ消失を観察したものに比し,有意に高値であった.この臨床研究の結果,BCG注入療法は,表在性膀胱腫瘍の治療,殊に,上皮内癌に対してアドリアマイシン療法より優れている事が示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1986-11-20
著者
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森 勝志
大阪市立大
-
Lamm Donald
ウェストバージニア大学医学部泌尿器科部門
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森 勝志
テキサス大学サンアントニオ校泌尿器科部門
-
Crawford E.David
ミシシッピー大学医学部泌尿器科部門
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