泌尿器科領域におけるポリアミン : 第1報尿路腫瘍における全血中ポリアミン

概要

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全血ポリアミンと腫瘍増殖の関連につき,動物実験及び臨床症例につき検討を行なった。動物実験はACI/Nラットに膀胱腫瘍の継代培養株BC-47を移植し,移植後の日数と全血ポリアミン濃度との相関を見た。全血ポリアミンは,移植後5日目より有意に上昇し,以後漸増する傾向を示し,腫瘍によるポリアミンの産生を裏づけるものであった。一方臨床症例では疾患別,治療法別に検討を行なった。膀胱腫瘍,前立腺癌,睾丸腫瘍の3種の癌患者では,全血ポリアミン濃度は正常者に比し,やや高値を示したが,有意の差は認められなかった。また,末期癌患者における全血ポリアミン濃度は極めて高いレベルを示し,正常者との間に有意の差が認められた。今回のわれわれの検討では,現在の所生血ポリアミン濃度を,癌の早期診断に用いる事は困難と思われた。治療法別の検討では全血ポリアミン濃度は,放射線療法や,化学療法等の治療により有意に上昇し,これらの治療法の効果判定に有用と思われた。前立腺肥大症は良性腫瘍であるが,前立腺肥大症患者の全血ポリアミン濃度についても同時に検討した。前立腺肥大症患者では,正常者と比較して極めて高い全血ポリアミン濃度を示し,正常者とは,明らかな有意差が認められ,ポリアミンの産生等につき,今後検討が必要と考えられた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1982-07-20

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