自然排出された"純粋な蓚酸カルシウム結石"の検討

概要

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蓚酸カルシウム結石の発生や成長には,燐酸カルシウムと有機物が関与しているという報告も多い。自然排出された小結石には,"純粋な蓚酸カルシウム結石"が多いが,われわれはX線回折法にて30例を選び,つづいて熱分析と赤外線分光分析を施行し,いわゆる"純粋な蓚酸カルシウム結石"にも主要な燐酸カルシウムであるアパタイトと有機物の存在を認めた。検量曲線から30結石のアパタイト濃度を求め,I群(22例)とII群(8例)に分けると,平均アパタイト濃度はそれぞれ2.2%と9.9%であった。また,I群は蓚酸カルシウム1水化物を主体とする結石が占め,II群は蓚酸カルシウム2水化物を主体とする結石が占めていたことから,2水化物は1水化物に比べてアパタイトを伴いやすいことを指摘した。I群ではII群に比べて有機物含有量が高かった。また,I群ではアパタイト濃度の増加に伴い有機物含有量も増加する傾向があった。これは,1水化物から成る結石の成長には,有機物とアパタイトが密接に関係しているためと考えられる。
社団法人日本泌尿器科学会の論文