特発性カルシウム結石症における過カルシウム尿症の意義について

概要

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血清カルシウムが正常であるにもかかわらずカルシウム結石を再発・多発する症例は決して少なくない.我々は尿路に異常の見られないこうした特発性カルシウム結石症の患者86名について,尿中カルシウム排泄量の測定と経口カルシウム負荷試験を行なって,過カルシウム尿症の頻度,再発,多発結石の頻度,及びそれら相互間の関係について検討した. 1日の尿中カルシウム排泄量が250mgを越える過カルシウム尿症は35例(40.7%)に見られた.残る51例の平均カルシウム排泄量は154.1±55.0mgであった.再発・多発結石は過カルシウム尿群35例中10例(29%),正常カルシウム尿群51例中16例(31%)に認められ,両群ともほぼ同じ頻度であった.しかし,経口カルシウム負荷試験を行なってみるとrenal hypercalciuriaあるいはabsorptive hypercalciuriaの傾向を有する患者群に再発,多発結石が頻発していた(9例中7例,78%).尿中カルシウム排泄量の測定は簡便に行なえるだけに,カルシウム結石症の原因あるいは再発・多発要因の追究に有用な方法のひとつであるが,1日の尿中排泄量を知るだけでは不十分であり,カルシウム負荷試験で過カルシウム尿症のタイプを決めることができれば,より多くの情報が得られる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文