ラットの実験的水尿管症における尿管の超微構造的変化

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ラットの左側下部尿管の完全結紮により実験的水尿管症を作成し,結紮後1日より20週まで経時的に尿管を摘除し,電顕的に観察した.正常尿管の上皮は収縮,拡張に応じて3〜8層に変化し,大型の被蓋細胞は自由表面が鋸歯状を呈し,小型で紡錘形の中間細胞に比べ紡錘形小胞を多数有していた.筋層の平滑筋細胞は多数の筋フィラメントおよび濃密体を有し,細胞間に少量の膠原線維がみられた.結紮後1〜3日では,上皮の脂肪変性,筋層の平滑筋細胞には細胞浮腫およびライソゾームの出現が認められ,平滑筋細胞間には多数のフィブリンが出現した.結紮後5日〜5週では,上皮被蓋細胞の扁平化,中間細胞には紡錘形小胞の増加および小器管の軽度に良好な発達がみられた.筋層の平滑筋細胞は肥大し,糸粒体の増加および粗面小胞体の良好な発達がみられた.結紫8週以後では.上皮層は扁平化し,一部の中間細胞が自由表面へ出現した.筋層の内腔側には,著明に延長した平滑筋細胞およびMyofibroblastがみられ,原形質内の筋フィラメントおよび濃密体の減少がみられた.細胞間には弾性線維および膠原線維が著明に増加した.以上の所見より,上皮は内腔の拡張に対し,細胞の扁平化および中間細胞の自由表面への出現により内腔表面積を増大させ,筋層は結紮5週以内では,平滑筋細胞の肥大により尿管内圧に対応するが,結紮8週以後では,尿管の蠕動運動機構に障害をきたすことが推測された.
1981-11-20

ラットの実験的水尿管症における尿管の超微構造的変化

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