岡山大学医学部泌尿器科学教室における上部尿路悪性腫瘍の臨床統計 : 付 : 上部尿路悪性腫瘍全国集計

概要

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厚生省の「悪性新生物死亡統計」によれば,上部尿路悪性腫瘍による死亡数は年次的に増加傾向を示している.今回われわれは岡山大学医学部泌尿器科学教室における上部尿路悪性腫瘍について,昭和30年より昭和52年に到る過去23年間の臨床統計的観察を行った,腎腫瘍104例,腎孟腫瘍48例,尿管腫瘍34例であり,5年実測生存率は,それぞれ,40%,49%,34%であった.腎腫瘍については, Low stage群(P1+P2)の5年実測生存率は66%であるのに対し, High stage群(P3+P4)では24%であった. High stage群では術後補助療法(主として放射線療法)併用群の予後が良好であった.腎孟腫瘍については, Low grade群(G1+G2)の5年実測生存率は77%であるのに対し, High grade群(G3+G4)で36%であり,また, High grade群では手術療法単独群の予後が良好であった.尿管腫瘍の予後は不良で,5年以上生存例6例中5例は手術療法単独群であった.予後に関する種々の因子を検討するに,血沈,末梢血赤血球数,a_2-globulinは予後とよく相関した.