構造探査データを用いたトモグラフィーによる雲仙火山の3次元地震波速度構造
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概要
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走時データのインヴァージョンによる速度構造解析では与えられた速度構造下における地震波の伝播経路と走時々問を求める必要がある. このため波線追跡法が用いられるが, 火山地帯などの高度に不均質な速度構造に対応できる波線追跡法として, 最短経路法 (Dijkstra, 1959) の結果をダウンヒルシンプレックス法により最適化するハイブリッド手法を開発し, 走時データトモグラフィー手法を構成した (Nishi, 2001). この論文ではこの手法を雲仙火山で1995年に実施された構造探査データに適用し, 浅部の3次元地震波速度構造を求めた. その結果, 従来多くの火山で指摘されているように火山の中央部は周辺部と比較して概して高速度領域であることがわかった. これはすでに2次元の屈折法によって得られている結果 (雲仙火山人工地震探査グループ・清水, 1997) とも調和的である. しかし, この高速度領域は水平方向にかなり不均質で雲仙火山の場合は地殻変動の圧力源に関連した低速度領域や高速度領域の中にもより高速度の領域が存在することが明らかになった.
- 2002-09-17