活断層と地震防災
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概要
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1995年の兵庫県南部地震以降, 活断層は日本の地震災害を引き起こす主要な要因として注目されるようになった。しかし, これまで, 活断層研究の成果・情報をどの様に防災に役立てるかについては, ほとんど議論が行われていなかった。本論では日本における活断層の地質学的な特徴と地震災害の関係を検討し, さらに, 活断層に関連した地震災害軽減のための手順と幾つかの対応策を提示した。災害軽減の手順としては3つのレベルの具体的な仕事が考えられる。第一のレベルの仕事は, 完新世における活動履歴の解明を含む活断層の地質学的な特徴の解明である。第二は, 第一レベルの調査で得られた活断層情報に基づいて, 将来の地震災害の定量的な予測を行うことである。第三には活断層の運動に関連した地震災害を軽減するための計画を造り, その対抗策を実施することである。これまでの多くの活断層に関連する災害軽減の調査は, 上記の第一のレベルにとどまっていた。今後は, 断層運動で引き起こされる地震災害を減らすために, 我々の研究を第二, 第三のレベルに進めていかなければならない。このような手順を完遂するためには, 現在行われている全国の活断層の地震危険度評価の実施を更に推進する必要がある。また同時に, 地域の自治体や住民が活断層の基礎的な特徴を理解でき, 地質学的調査等によって得られた活断層情報に対して的確な対応がとれるような啓蒙活動の促進が必要である。
- 1998-03-24
著者
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