宏観異常による地震危険予知 : 情報地質学の歩みと展望に照らして
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概要
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阪神・淡路大震災(1995.1.17; M7.2)の直前, 京阪神地域の多くの住民は前兆的な異常(宏観異常)を目撃していた。大阪市立大学の学術調査団は, 地震直後の2月10日, マスコミを通じて一般住民が観察した宏観異常の情報提供を広く呼びかけた。この呼びかけに応じて, 4月末日までに1,519人から証言的な情報が提供された。この宏観異常の内容は, 各種の動物の異常行動, 鳴動・群発地震・温泉・地下水などの地象異常, 各種の異常な雲・赤色の月・発光・テレビやラジオでの電磁気異常などで, 住民は地震の前触れと認識した上で調査団に報告してきた。この証言を分類・集計して著書にまとめ公表した(弘原海, 1995)。その結果から, 宏観異常は震源地に近づくほど多発し, 地震の約30日前頃より住民に感知され始め, 直前24時間から著しく増大する。この異常発生の先行時間は日本や世界の被害地震のそれとほぼ共通した特徴を示す。このような宏観異常の情報が地震前にリアルタイムに収集・処理できれば, 地震危険予知につながる可能性がある。インターネットに代表される今日の情報化時代, 対話型のオンライン・データベースを備えたホームページ・サイトを整備し, 日本全国から宏観異常を24時間365日, 連続して収集するシステムを開発することは不可能でない。著者が現在開発中の地震危険予知システム(PISCO; Precursory Quake-Information System based on Citizen's Observation)の開発理念と機能概要について, 情報地質学の歩みと展望に照らしながら評価した。
- 1998-03-27
著者
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