地熱系モデリングから見たマグマ溜り : 豊肥・仙岩・栗駒地熱地域を例にして
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概要
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豊肥, 仙岩, 栗駒地熱地域では詳しい地熱調査が行われ, 放射年代測定に基づく第四紀火山層序や, 坑井掘削に基づく地下温度構造などが明かにされている。これらのデータを用いて各地域の地熱系モデルを検討した。その際, 特に地熱熱源とマグマ溜りとの時間的, 空間的関係に力点をおいて検討した。その結果, 地熱熱源としては最も若い第四紀火山活動に伴うマグマ溜りよりも, むしろ火山フロントより背弧側のやや古い第四紀火山活動に伴うマグマ溜りが, 今なお地熱熱源として重要な役割を果たしていることが明かとなった。これは, 従来強調されていたマグマ溜りの単純な冷却過程における残存熱だけでは, 現在活発な地熱熱源を説明することが出来ないと言う事を示している。いわば, マグマ貫入後の熱の付与が, 予想以上に大きく, かつ期間も約30-100万年前後と長時間継続しているということである。その様式については, 複合花崗岩体で認められるような追加的なマグマの付与, または単純な伝導熱だけの付与が推定される。
- 日本地質学会の論文
- 1994-04-28
著者
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