マグマ溜りの上昇にともなうコールドロン形成の模型実験
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概要
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マグマ溜りの上昇にともなって発生する地殻のドーム隆起と多角形のコールドロンを, マグマ溜りの形態やマグマの粘性に留意して, 模型実験により再現した。大型の遠心加速機を用いて1,000〜1,500 Gを模型に加えることにより, 十分な浮力の生じたマグマ溜りが上昇する。模型材料には, 油粘土(modelling clay)やシリコンパテを使用した。マグマ溜りの浮き上がりによって地表にドーム隆起が生じ, ドーム中心部には亀甲状の断裂が, その周辺には放射状の断裂が発達する。マグマ溜りの初期形態の違いによって断裂の発達領域に差が現れた。断裂の変位量が大きくなると, ドーム中心部に多角形の陥没カルデラが生じた。環状断裂は発生しなかった。また, 上昇するマグマの粘性が低い場合, 地表のドーム状隆起はほとんど観察されず, したがって断裂-陥没も形成されなかった。低粘性では地表を隆起させるほど剛性がないということであり, マグマ溜りは, 一般に考えられているほど液状ではないかもしれない。
- 日本地質学会の論文
- 1990-03-30
著者
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