三河大野東部における中央構造線沿いの地質構造
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概要
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当地域は北から南へ中新統設楽層群,中央構造線(細川断層),"擾乱帯",中央構造線主断層,三波川帯という帯状構造を示す。北部の細川断層は広義の中央構造線断層系の一部であり,南部の中央構造線主断層は狭義の中央構造線である。細川断層の傾斜は北へ70゜前後であり,中央構造線主断層の傾斜は北へ50゜前後である。さらに,細川断層には軟かい断層粘土がよく発達し,地形としても顕著であるが,中央構造線主断層には固結した断層粘土がわずかにみられるていどである。そして, 地形的にも細川断層ほど顕著でない。当地域の地質は,このような二本の中央構造線の活動時期との関係で,先中新世と中新世-後中新世に大別できる。先中新世では"擾乱帯"の中が最も複雑な地質を示す。この中には,阿寺七滝礫岩,花崗斑岩の小岩体,巣山火砕岩類,河内層,領家花崗岩および圧砕岩類が分布する。また,中央構造線主断層の南側には三波川結晶片岩類が分布する。中新世-後中新世では,細川断層の北に設楽新第三系が発達する。中新世末の安山岩,流紋岩の岩脈が中新世以前の地質系統を切って貫入している。中央構造線主断層沿いには,部分的にchaotic bodyが分布する。これは鹿塩時階直後の白亜紀初期から後期白亜紀直後の間の内帯上昇に伴うoverthrustingにより形成されたと考えられる。一方,細川断層は中期中新世に設楽層群の堆積盆が形成されるときに,そのきざしが見られ,中新世末には,水平成分を有する正断層として活動したと考えられる。
- 1980-03-30
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