別府-九重地溝帯の地質構造発達史
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概要
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大分県・熊本県両県にまたがる豊肥地域および別府-九重地溝帯において, 詳しい地熱調査が行なわれた。これらのデータと既存文献から, 当地域の地質層序および構造を検討した。特に, 片山(1988)の年代層位区分に則り別府-九重地溝帯の外側と内側の層序対比を行なった結果, 構造発達史に関して下記のような知見を得たので, ここに報告する。1. 鮮新世においては津江山地, 英彦山地, 猪牟田沈降帯, 庄内沈降帯などに火山性陥没構造が断続的に形成され, 厚い火山噴出物が局所的に堆積した。2. 更新世前期には別府-九重地溝帯が大量の火山噴出物とともに形成された。3. 更新世中・後期には新期火山岩類がNE-SW方向に成層火山体を形成しながら, 噴出した。4. 本地域の火山活動は, 一般的に言えば陥没構造, 地溝帯およびカルデラ形成を伴う大量の火山噴出物で特徴づけられる。5. 本地域の火山活動の盛んな時期の堆積速度は, 1 km/Maに達する。6. 火山活動を伴う陥没構造の形成の成因については, 陥没説, 引張応力説, 水平横ずれ応力説, リフティング説などいろいろ提案されている。筆者は単純な陥没説をとるが, 現在のところ成因についてはまだ明確になっていないと考えられる。
- 1993-06-25