日本産レビ沸石とエリオン沸石の鉱物学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本で最初見出されたレビ沸石と,エリオン沸石について,それらの化学組成,格子定数,屈折率の間の関係等について研究をおこなった。これらの沸石鉱物は,比較的産出が希であり。レビ沸石は,日本では,1972年長崎県壱岐島長者原から島津によりはじめて発見された。その後,1973年山口県川尻から渋谷が,新潟県黒岩より竹下が見出した。これらのレビ沸石の化学組成を比較すると,長者原産のものがNa_2O 8.41, K_O 1.27 wt.%と,これまで報告されているレビ沸石の中で,もっともアルカリに富んでいる。レビ沸石構造に対してCa-Na(K)置換を考えると,長者原産のものは,今まで見出されたものの中でNa端成分にもっとも近い組成をもっていることになる。長者原,川尻のレビ沸石は,エリオン沸石と密接に共生しており,レビ沸石の(0__-0__-1__-)面上に,c軸に伸長したエリオン沸石が垂直に密生している。しかし黒岩産のレビ沸石は,エリオン沸石と共生していない。また川尻および長者原産レビ沸石は,スピネル双晶式のc軸60°回転双晶をひんぱんにくりかえしているが,黒岩産レビ沸石は,双晶が比較的少なく,単結晶のX線写真が得られる場合もある。黒岩産レビ沸石は,比較的塩基性の安山岩質貫入岩中の石灰質堆積岩のゼノリスが変質して生じたスカルン鉱物をともなうめずらしい産状を示している。格子定数,屈折率の値は,化学組成と一定の相関関係をもつと考えられる。
- 日本地質学会の論文
- 1974-09-30
著者
-
島津 光夫
Department Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Niigata University
-
溝田 忠人
Department of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Niigata University
-
渋谷 五郎
Mineralogical Laboratory, Faculty of Liberal Arts, Yamaguchi University
-
竹下 良美
Department of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Niigata University
-
溝田 忠人
Department Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Niigata University
-
竹下 良美
Department Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Niigata University
-
渋谷 五郎
Mineralogical Laboratory Faculty Of Liberal Arts Yamaguchi University