関東山地北縁部のいわゆる跡倉層の砂岩
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概要
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関東山地北縁部に分布する白亜系(いわゆる跡倉層)のうち, 西部の下仁田地域, および東部の寄居〜小川地域の砂岩の生成に関する問題を, 砂粒の鉱物組成を中心にして検討した。白亜系の砕屑物の供給源として花崗岩類, 堆積岩類, 結晶片岩類, および噴出岩類が認められる。このうち, 花崗岩類は, 少なくとも下仁田地域の跡倉層(浦河統)および寄居〜小川地域の栃谷層(上部白亜系)の場合, クリッペをなす花崗岩類に一部は相当するが, おそらく未知の花崗岩類も存在した。結晶片岩類は, とくに下仁田地域の中の萱層(ギリヤーク統)では, 三波川帯のものが多いであろう。跡倉層下部層(浦河統)は, ほとんど花崗岩地域からの供給物で構成されており, 供給源に近い堆積物とみられる。跡倉層と栃谷層は, 砂岩(や礫岩)の組成その他に共通性が多く, しかも原地性とみられる白亜系の砂岩(や礫岩)とは異なっており, 両層は共にクリッペである可能性が高い。
- 日本地質学会の論文
- 1992-03-20