87. コイの嗅上皮細胞について(第 1 報)
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概要
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分離標本においてはbasalよりに楕円形の核を有する大柱状様の細胞と胞体の中央およびbasalよりに楕円形の核を容れる細長い細胞を観察した.この細長い細胞は, 核のところが常にふくらがんでいる.稀にapicalがかなり幅広いものもあった.切片標本toluidin blue染色標本においては, 図1のごとく明るい細胞, 暗い細胞, および中間調の細胞が入りまじりに並列しているのが観察された.明るい大細胞は支持細胞と思われるもので, 味蕾における支持細胞に近似し, 明るい楕円形の核は上皮層の浅層に位置し, 核およびその位置から考えると分離標本における大柱状細胞のように解される.中間調のものは前者に比較し細長い柱状様を示し, 核は楕円形にして, その位置はほぼ明るい細胞の核に似て上皮層の浅層にある.また暗い細胞は前者に近似した概形をそなえ, 核は中楕円形で上皮層の中央部辺に位置している.この両者は嗅細胞と思われるもので, 核およびその位置から考え分離標本における細長い細胞のように解される.基底細胞はhematoxylin eosin染色標本の観察では, 小円形の核を有する多角形細胞にして, 互いに細胞間橋にて連結しており, 粘膜ヒダの上(凸)部近くでは2∿3層, 下(凹)部では3∿4層を数えた.その他上皮層のいたるところに, 粘液様物質を含む胚細胞と思われるものが多数観察された.かくのごとく鯉嗅上皮は細長い2種のrecptor cellと1種の大柱状様のsupporting cell, および2∿3層の多角形をしたbasal cellより構成されているようである.
- 九州歯科学会の論文
- 1967-12-30
著者
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