キトサン配合リン酸4カルシウムセメントに関する研究 : 第1報硬化体の諸性質について

概要

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本研究の目的は, キトサン配合リン酸4カルシウムセメントの理工学的性質ならびに本材のヒト象牙質に対する接着強さを測定することである.リン酸4カルシウム粉末に対するキトサンの配合量はそれぞれ, 0, 0.5, 1, 5, 10, 20wt%とした.練和液にはクエン酸-リンゴ酸水溶液を用い, 粉液比は1.5(g/g)とした.得られた硬化体の硬化時間, 圧縮強さならびに崩壊率をADAS No.61に準じた方法により測定した.また, ヒト象牙質に対する接着強さはすでに報告した方法に従い行った.その結果, 硬化時間はキトサンの配合量が1wt%までは減少する傾向が認められたが, 5wt%以上では増加する傾向が認められた.圧縮強さについてはキトサンの配合量が増加するにつれ, 強さが有意に減少する傾向が認められた.崩壊率ではキトサンの配合量が増加するにつれ, 崩壊率が有意に増加する傾向が認められた.ヒト象牙質に対する接着強さはキトサンの配合量が増加しても, その接着強さに有意差は認められない結果を示した.以上のことより, キトサンをリン酸4カルシウムセメントに配合することは可能であり, 裏層材として用いる場合, その理工学的性質を考慮するとキトサンの配合量は1wt%が限度であることが示唆された.
日本歯科理工学会の論文
1995-07-25

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