歯科医療情報と歯科理工学 : 高度情報社会の進展と歯科医療
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概要
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21世紀は高度情報社会と言われ、コンピュータネットワークが世界を覆い、急速な変化の時代である。医療界にあっては1970年から始まったMEを中心とする第2次医療技術革新の時代を経て現在は生命科学の革新による第3次技術革新の時代に入っている。こう言った変化の波は、医療のあり方を大きく変えようとしている。その大きな変化は、ネットワーク医療が拡大するのに伴い、情報の共有による医療の質の評価の時代が到来しつつある。医療情報の特殊性を考慮に入れても、高度情報社会の進展は、歯科医学教育をはじめとして歯科医療の新たなワク組の構築とシステム化を推進すると予測される。現在、医療、保健、福祉、または健康の各分野において情報ネットワーク網の整備が各地で図られている。厚生省は、平成6年に厚生省情報化推進本部を、平成7年には医療技術情報推進室を設置し、本格的な情報化推進対策を開始している。情報化に伴う課題については「医療保健福祉サービスの情報化に関する懇談会」の報告書で、システム等での標準化、関連制度の点検費用負担と公約助成、個人情報の保護、情報の活用の促進、研究開発体制の整備充実の6つを挙げている。それに基づいて「情報化実施指針」を策定し、具体的な情報化対策を平成7年より実施に移している。情報ネットワークの分野では、国立病院情報ネットワーク、福祉・保健総合情報ネットワーク、医療情報電子検索システム、健康情報ネットワーク(情報ハイウェイ)が推進されている。医療保健の分野では、電子カルテの開発、レントゲン画像等電子保存の共通規格、介護カードの研究、医療保険証のICカード化の実験等がある。こういった情報化対策は、G7、G11における保険医療情報に関する標準化の動きと呼応して、国際的な情報化実現に向けて着々と準備されている。情報化は、医療機関の機能分担が進む中で、より一層の医療の効率化を図られると予測される。また、情報化は、情報の開示を含め医療の質と患者サービスの向上を国民から求められることになる。従って、我々歯科医師は、インフォームド・コンセントの実践による患者への治療内容の十分な説明が大切である。また、歯科医療の分野にあってもコスト意識を持ち、システムの効率化を図らねばならない。このことを理工学分野の視点からみるならば治療に用いる歯科材料の性質や品質管理等の情報を歯科医師がアクセスできるようなシステム作りを行う必要がある。また、新材料の臨床応用へのデータ集積のためのネットワークを作り、新技術を患者ニーズに合わせ早急に普及させるシステムを作るべきである。
- 日本歯科理工学会の論文
- 1996-09-05
著者
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