鋳造用Au-Ag-Pd系合金におけるボロン銅添加の影響 : 特に機械的特性ならびに合金色調を中心として
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概要
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金, 銀, 銅をベース合金としてこれにパラジウム, 白金, インジウム, 亜鉛等を添加して耐食性や機械的性質の改善を行ってきた.しかし, 貴金属を使用するため合金の価格が高価になり, また, 鋳造体の鋳肌は黒色あるいは黒灰色の酸化膜で覆われる.そこで, 本研究は黒色系酸化膜のない黄金色を維持するために, 銅単体の替わりにボロンを含んだ銅を添加して試作合金を作り, 機械的性質と金の色調にどのように影響するか検討したところ, 次のような結論を得た.1)Au-Ag-Cu系合金にボロンを含有した銅の添加は引張り強さ, 伸び, 硬さなどの機械的性質が幾分改善される.2)Au-Ag-Cu系合金にボロンを含有した銅の添加は鋳肌時の色調に酸化膜の少ない黄金色を呈する.3)研磨時の色調はボロンを含有した合金の色調と18カラット金合金と近似している.4)ボロンを含んだ銅を添加するとボロンは脱酸剤と酸化被膜防止等の作用をするので合金の変色防止に大いに寄与する.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1991-09-25