岡山県における障害児の放課後生活実態に基づく放課後生活保障に関するニーズ調査
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概要
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"1998年の「放課後児童健全育成事業」がきっかけとなり,障害児にも放課後生活の保障が必要であるという認識は広がった.利用条件が緩和したことや,都道府県独自の補助制度が成立したことによって,障害児の学童保育への入所要求も年々強まっている.しかし,依然として,指導員の加配制度,補助金の加算,入所年齢の制限などの条件整備が不充分であるため,学童保育への障害児の受け入れは困難であり,障害児の放課後保障が充分であるとは言えない.今後の障害児の放課後保障のあり方を検討するためには,障害児の放課後の生活状況や母親の子育て状況を把握する必要がある. そこで本研究では,岡山県における養護学校児の母親(107人),特殊学級児の母親(116人)を対象にアンケート調査を行った.調査内容は,母親の属性について(10項目),子どもの放課後実態について(11項目),母親の子育て不安状況について(22項目),障害児学童保育への要望について(3項目)である.これらの項目の,比較・分析を行い,障害児の放課後生活保障についての考察を行った.その結果以下のことが明らかになった.(1)養護学校児と特殊学級児の共通の要望として,安心して諸活動に参加できるよう指導員,ボランティアの確保・充実がある.この要望を充たすには,専門的な指導員の配置や,指導員の研修内容の充実,指導員の身分保障,障害について理解・知識のある人的資源の確保・充実などが,障害児の放課後保障には必要不可欠な要素であると考えられる.(2)養護学校児には,家族の負担を軽減するための送迎サービスの提供,すなわち,送迎の負担のかからない養護学校を拠点とした障害児学童保育の設置などが考えられる.(3)特殊学級児には,障害児学童保育とはまた別に,健常児との交流の場もニーズとしてあり,子どもの発達や成長に合わせた個別的アプローチを行える指導員・専門員などの人的配置の整備が必要であると推測される."
著者
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"泉 宗孝
旭川荘厚生専門学院介護福祉科
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小池 将文
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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八重樫 牧子"
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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小池 将文
川崎医療福祉大学
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八重樫 牧子
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科
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泉 宗孝
旭川荘厚生専門学院介護福祉科
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