ジョヴァンニ・パピーニの短篇作品『まったく馬鹿ばかしい話』 : 分身物語としての作品分析
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概要
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ジョヴァンニ・パピーニの短篇作品『まったく馬鹿ばかしい話』は1906年12月に「リヴィエーラ・リグレ」(〈Riviera ligure〉)誌上に初めて登場、ついで1907年に他の12の短篇と共に幻想物語集『盲目の水先案内人』に収められた作品である。パピーニの不条理・不合理なもの(l'assurdo)にたいする趣向は、この幻想物語集のタイトルそのもののなかに顔をのぞかせている。すなわち、『盲目の水先案内人』というタイトルが著者の頭に浮かんだのは、〈それはおそらく、連結の奇抜さ、つまりガイドという観念を盲目という観念に結びつける不条理さが私の心をとらえたためだろう〉、と自ら語っている。まさに〈assurda〉という形容詞を付されたこの作品の不条理の内実に迫ること、それが小論の目的となろう。
- 1991-10-20