ベネデット・クローチェ生誕百年によせて
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概要
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ベネデット・グローチェがペスカッセローリで生まれてから、ちょうど百年になる。そして今日、イタリア国民は、私のまわりに結集して、この偉大な市民をたたえようとしている。かれは、哲学においても、歴史学においても、文芸批評においても、政治経済学においても、文学研究においても、また政治学においても、不朽の天才的業績を残した人であり、諸個人、諸国民の生活を統べる偉大な理想を、国民の心に呼びさましたかれの功績は、今世紀前半の他のいかなるイタリア人にもまして、大きいと云わなければならない。この記念祭がナポリで挙行されることは、まさに当然である。ナポリはかれが生き、研究し、その記念碑的な事業に日夜いそしんだ町だからである。かれはこの町をふかく愛し、この町はまた同様の深い愛をかれに返し、かれをこの町の栄光として誇ったのである。こうしてかれの名は、ジャンバッシティスタ・ヴィーコの名とともに、このナポリの町と切っても切れないものになったのである。イタリアは、このような息子を生んだことを、光栄とするものである。それはもとより、かれの天才、高貴な魂、偉大な事業によるものであるが、また一方、イタリアがかれにおいて自己を認識したからでもある。この時代こそは、わが国の歴史の、苦難と冒険にとくにみちみちた時代であり、この間、わが国の市民生活の高貴な輝きはくもらされ、市民生活じたいが混迷におちいり、再興の希望を見失なうほどであったが、この時期に、イタリアはかれを鏡とし、かれによって自己の真の姿を見ることができたのであった。それゆえに今日、イタリア全国が-たんに学者と文化人のイタリアだけでなく、また特定の政治党派や思想傾向のイタリアだけでもなくて、全国が、挙げてかれを記念しているのである。
- イタリア学会の論文
- 1967-01-20
著者
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