「Pure Data」 : 新たな統合されたコンピュータ音楽環境
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概要
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「Pure Data」と名付けられたこの新しいソフトウェア・システムは現在、開発の初期段階にある。この新たなソフトウェアでは、従来の「MAX」の長所を保ちつつ、いくつかの不充分な要素を補正することが試みられる。MAXの最も重大な弱点は、音声解析やリシンセサイズ、さまざまな異なるタイプのイベントのシークエンスを記録したり、変更したりする時に出てくる複雑なデータ構造を維持することが難しいことである。また、オーディオ信号以外の信号(ビデオ信号、音響スペクトルなど)を厳格なMAXの「チルド(-)オブジェクト(信号処理オブジェクト)」に統合する事が困難である事も判明している。更に、すべてのデータ構造に関し、二つ別個のコピー(リアルタイムで一つは編集され、もう一つはアクセスされる)を保持するという課題は多くの混乱と困難を引き起こすものであった。「Pure Data」のプロトタイプでは、ユーザによって定義された新たなデータ構造とも結合し易くなるようにMAX中のデータ構造を簡略化することが試みられる。また、一方ではMacintoshで実現され、もう一方ではISPWで実現された画像処理とリアルタイム処理の関係については、第三の解決法によって置き換えられる。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1996-10-19