CRC法によるオブジェクト指向概念の教育
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概要
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学習者は、新しい概念を自分の保有する既存の概念と比較をしながら理解しようとする。オブジェクト指向の学習では、オブジェクト指向の概念を学習し、どのようにしてオブジェクトを見つけるかを学ぶ。オブジェクトを見つけるとは、そのオブジェクトがどのような「知識」と「責任」を持ち、仕事を実行するために他のオブジェクトとどのように「協調」するかを理解することを意味する。構造化パラダイムの経験者がオブジェクト指向の概念を理解しようとするときの最大の障壁は、オブジェクトが知識と責任を持つとか、他のオブジェクトと協調するという、擬人化してものを考えるという経験をもっていないことである。CRC法は、分析段階で参加メンバがオブジェクトそのものになりきることを徹底的に要求する。その点で、CRC法は、擬人化してものを考える訓練には適した技法である。筆者らは、学習者の大部分が構造化パラダイムの経験者であるオブジェクト指向集合教育にCRC法を適用していくつかの教訓を得た。・集合教育では、本来のCRC法をそのままの姿で実施することは効率の点で問題がある。・筆者らが集合教育用に変更したCRC法は、インスタンスの初期化、関係、ポリモフィズムの理解に効果がある。・クラスとインスタンスの相違、インスタンスの生成、継承、カプセル化については、通常の説明によって理解できる。本稿では、学習者が擬人化を体験する場として変更したCRC法の実施方法を述べ、その、CRC法がオブジェクト指向概念の学習にどのように貢献するかを評価する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1998-03-10