原子吸光法によるニッケル(II)-ジチゾン錯体と水銀(II)との置換反応の研究
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概要
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ニッケル(II)-ジチゾン錯休{Ni(Dz)_2}と水銀(II)との置換反応を原子吸光法により研究した.置換反応の化学量論は次のようになる.Ni(Dz)_<2o>+Hg(II)_w--→Hg(Dz )_<2o>+Ni(II) _w ここで略号o,wはそれぞれ有機相及び水和を表わす.置換反応の最適pHは1.0と3.0の間である.pH 2.0,室温で,Ni(Dz)_2.錯休のクロロホルム溶液と水銀(II)溶液を5分間振り混ぜるとニッケル(II)が定量的に放出される.ニッケルカソードランプを用い232 nmで水相のニッケル(II)濃度を測定することにより0.20μg/mlから8.00μg/mlの水銀(II)が定量できる.水銀(II)に対して100倍モルの銅(II),カドミウム(II),アルミニウム(III),鉄(III),クロム(III),モリブデン(VI),ウラン(VI),トリウム(IV)は妨害しない.10倍モルのニッケル(II),等モルのコバルト(II)は妨害しない,銀(I)の妨害は塩化物イオンの添加により除去できる.水銀(II)と銅(II)はpH2でジチゾンにより定量的に抽出されるが,銅(II)のNi(Dz)_2に対する反応性は水銀(II)に対するそれとは異なっている.このことはNi(Dz)_2とこれらの金属イオンとの置換反応に金属イオンの軟らかさの違いが影響していることを示しているものと思われる.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1981-03-05
著者
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尾崎 益司
茨城大学理学部化学科
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FREISER Henry
Department of Chemistry, The University of Arizona
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Freiser Henry
Department Of Chemistry The University Of Arizona
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