ヘリウムガス置換法による気体試料のサンプリング法
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概要
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大気中の有害物質や作業環境の化学物質などをサンプリングする場合,真空びんを用いた直接捕集法が一般的に使用されている.しかし,この方法は瞬間的な捕集には適するが,真空びんの真空度の保持が難しいこと,又,真空にするのに長時間を要するなどの問題点があった.著者らは気体の比重差を応用した不活性ガス置換によるサンプリング法を検討し,これらの問題点の解決を試みた.この方法は採気びんにあらかじめ空気より7.24倍も軽い安定したヘリウムを充てんし,サンプリング時点で採気びんの両端を垂直に保持しながら開せんし,試料とヘリウムとを置換させ,サンプリングする方法である.4.5mmφ口径,容量200mlの採気びんの置換率は3分間の置換時間でほぼ100%の効率を示し,更に採気びんの容量を1000mlにした場合,置換時間は(7〜8)分遅れるが,これもほぼ100%の効率で置換されることが分かった.又,採気びんに充てんされたヘリウムの保時率はO〜40℃の温度条件下で10日間放置しても100%の保特率であった.このことは充てん時に少し加圧ぎみにヘリウムを充てんすれば外部からの汚染も受けることなく長時間の保存が可能となる.本法は空気とヘリウムとの比重差を応用したガスサンプリング法で真空びんなどによるサンプリング法に比べ,極めて簡易,確実に試料を直接捕集できる方法であることが分かった.又,本法を環境大気中の炭化水素類,無機ガス類のサンプリングに応用し,その実用性を明らかにした.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1981-11-05
著者
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