キレート樹脂を用いるバッチ濃縮法を応用した海水中微量元素の船上濃縮装置の試作(<特集>超微量分析のための前処理と予備濃縮)
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概要
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海水中の微量元素を船上で採水後直ちに濃縮処理するための装置を試作した.用いた方法は,ICP-AESの前濃縮法として優れ,かつ,比較的短時間に効率良く微量元素を濃縮できるキレート樹脂(Chelex 100)を用いるバッチ濃縮法である.この装置は,試料の〓過,樹脂と試料とのかき混ぜ,樹脂の回収,分析元素の溶出などの一連の操作を,ほぼ連続的に行うことができる.ICP-AESを元素検出手段として用い,回収率に対するpHやかき混ぜ時間の影響,脱塩効果などの検討を行った結果,pH6でAl, Mn,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Cd,Pbを,pH3でTi,V,Fe,Moをほぼ100倍に濃縮できた.又,ICP-AESによる濃縮後の検出限界は,Ti,Mn,Yで数ng/l,Al,V,Ni,Pbで約100ng/lであり,その他の元素ではその中間の濃度範囲にあった.海水試料一つについての濃縮処理に要する時間は2〜3時間であった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1987-11-05
著者
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