緑茶の粒子表面での水銀(II)イオンの吸着 : 緑茶を吸着剤とする水中の微量水銀(II)イオンの捕集除去(<特集>超微量分析のための前処理と予備濃縮)
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概要
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緑茶(抹茶)の粒子表面における水中のHg(II)イオンの吸着特性を調べ,水中の微量のHg(II)イオンの捕集除去法を確立した.緑茶は,希硫酸溶液中でホルマリン処理して用いた.ホルマリン処理茶50mgを,Hg(II)イオンを含む100mlの試料溶液に添加して数分間かき混ぜる.次いで遠心分離して上澄み液中のHg(II)イオン濃度をAAS装置を用いて測定する.pH3〜9において90%以上の捕集除去率(吸着率)を示した,この条件における等温吸着に対するLangmuir式のプロットから得られた吸着平衡定数及び最大吸着量は,それぞれ6.4×10^4dm^3 mol^<-1>及び53mg g^<-1>であった.これらの値は,同一条件で活性炭を吸着剤とした場合とほぼ等しい.10〜30g Zn(NO_3)_2・6H_2Oを含む100ml水溶液中の50μg Hg(II)イオンは,ほぼ定量的に処理茶(50mg)に吸着するが,最大吸着量は約10分の1に減少することが分かった.又,8-キノリノール又は1,10-フェナントロリンを共存させてもHg(II)イオンの収着率にはほとんど変化が見られなかった.他方,EDTAイオンが共存するとHg(II)イオンの吸着は完全に阻害された.いったん吸着したHg(II)イオンの脱離は,6mol dm^<-3>塩酸で行うことができ,再使用は少なくとも4回行うことが可能である.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1987-11-05
著者
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