冷原子吸光法による環境生物試料中の水銀分析 : 前処理方法の比較
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概要
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環境生物試料中の水銀を,冷原子吸光法によって正確に,かつ能率的に測定することを目的として試料の前処理方法を比較検討した.魚肉,乾燥魚粉及び植物葉乾燥試料を用いて,乾式分解法,湿式酸分解法,及びテフロン容器によるボンブ法をそれぞれ適用した.魚肉中の脂肪は,硫硝酸混液を用い,湿式酸分解法で3時間加熱しても分解されなかったが,ボンブ法で150℃に加熱することにより分解された.しかし残留脂肪の有無にかかわらず,水銀の測定値には差が認められず,いずれの方法によっても再現性のよい結果が得られた.植物葉試料は,ボンブ法において硫硝酸混液とともにフッ化水素水を添加することにより再現性よく分解できた.三つの分解方法をInternational Atomic Energy Agency(IAEA)の海洋環境生物試料に適用し,方法間に根本的な差異のないことを示した.
- 1980-02-05