電磁レンズを用いたX線光電子分光装置の高分子材料に対する電荷中和条件の検討とその応用
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概要
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電磁レンズを利用したX線光電子分光装置は, 試料帯電を中和するためにレンズ内に熱電子供給源であるフィラメントを備えた機構が組み込まれている.本機構の高分子材料に対する中和条件について検討を行った.平坦な分析面を持つポリエチレン試料とポリプロピレン試料を, MgK_αX線と単色化AlK_αX線を用いて分析した.この結果から, MgK_αX線と単色化AlK_αX線では中和を行わないときの帯電量が著しく異なった.ポリエチレン試料の最適な中和条件は使用した線源によらずバイアス電圧約-4.0Vであった.又, ポリプロピレン試料での中和条件は, MgK_α線を用いたときにバイアス電圧約-4.0V, 単色化AlK_α線を用いたときにバイアス電圧約-4.5Vであった.このように, 中和の最適条件の探索はX線源の違いにかかわらずほぼ同一の操作で行えることが示された.更に, 粒状のポリプロピレン試料の分析を行った.この分析では部分帯電が認められたが, 平坦な試料と同一条件で帯電中和を行い, 良好な結果が得られた.すなわち本中和法は, 試料形状に対する依存性が小さいことが分かった.更に, 本中和法をポリエチレンとポリプロピレンの価電子帯を利用したマッピング測定, シリコン基板上のフォトレジスト膜及びポリマーアロイに適用し, それぞれ, ポリエチレンとポリプロピレンの識別, 150μm角のフォトレジスト膜の高分解能Clsスペクトル及び微小ポリプロピレン粒子のゴム中の分散状態を明らかにすることができ, 本中和法とマッピングを組み合わせた分析法が有効であることが示された.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1995-11-05
著者
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大藪 又茂
(株)島津製作所第二分析事業部
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藤井 岳直
(株)島津製作所第二分析事業部
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大藪 又茂
(株)島津製作所 秦野工場 第二分析事業部技術部
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藤井 岳直
島津製作所
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大薮 又茂
(株)島津製作所
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