糖鎖の1H-NMRスペクトルの簡易解析法
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概要
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ナノモルオーダーの糖鎖で測定が可能な600MHz一次元(1D) ^1H-NMRとH-H COSYスペクトルのみを使って, 糖鎖骨格のすべてのプロトンを解析する方法を開発した. 糖鎖は構造の類似した単糖が幾つか結合した構造であるために, δ2〜4ppm付近に多くのプロトンピークが重なり合い, 従来1D ^1H-NMRスペクトルとH-H COSYスペクトルのみでの全解析は非常に困難であった. 本方法では次の三つの条件を設定することにより, 糖鎖の^1H-NMRスペクトル全解析を可能にした. 1. AMX型の分裂パターンは, 分裂線の中心線で対称である. 2. 重なり合ったピークに含まれる多重度は, トリプレットからオクテット(dd-ddd)の範囲である. 3. 糖鎖を構成している構成単糖のコンホメーションは, それに相当する単糖誘導体のコンホメーションと類似している. この条件を使った解析プログラム(言語:FORTRAN77)を開発し, 腫瘍マーカーの一つであるT抗原(Galβ1-3GalNAc)誘導体の解析を行った.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 2001-05-05
著者
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