NMRスペクトルによるスチレン三量体立体異性体の構造解析 (<特集>環境ホルモンと分析化学)
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概要
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ウイングスプレッド宣言において, 内分泌攪乱化学物質として記載されているスチレン三量体のうち, 1-フェニル4-(1'-フェニルエチル)テトラリン(1,4-PPET)及び1,3,5-トリフェニルシクロヘキサン(1,3,5-TPCH)各立体異性体の配座解析を^1H及び^<13>C-NMRスペクトルより行った. 1,4-PPETについては熱重合時に生成するスチレンオリゴマーからHPLC分取法により4種の異性体を単離し, 1-フェニル基及び4-(1'-フェニルエチル)基のテトラリン環に対するアキシアル(ax)及びエクアトリアル(eq)配座を検討した結果, GC溶出順に, (1-eq, 4-eq),(1-ax, 4-eq),(1-ax, 4-ax)及び(1-eq, 4-ax)であることを確認した. また, 1,3,5-TPCHについては立体選択性の異なる二通りの合成法によりGC溶出順に(trans, cis)及び(cis, cis)2異性体を得ることができ, シクロヘキサン環に対するフェニル基の配座はそれぞれ(1-ax, 3-eq, 5-eq)及び(1-eq, 3-eq, 5-eq)であると結論付けることができた. 以上のように立体構造を明らかにできたことは, 今後内分泌攪乱化学物質としての作用機構を研究する上で意義深いものと考えられる. なお, 今回得られた1,3,5-TPCHのGC/MSスペクトルは既報のMSスペクトルとはかなり異なることも分かった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1999-06-05
著者
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