継続性を考慮した状態推論の一実現方式
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概要
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自然言語理解システムの能力を人間に近づけるために必要な機能の一つとして、"継続性を考慮した状態推論"の機能がある。ここでいう"継続性を考慮した状態推論"とは、「静的と考えられる状態(物体の位置、色等)は、その変化が明言されるまでは、継続していると見なせる」という仮説に基づいて、指定された時間における状態を推論することである。例えば、「朝の8時には、花瓶は机の上に置いてあった。ところが、夕方の6時に、母は花瓶を下駄箱の上に移した。」という情報から「朝の8時から夕方の6時前までは、花瓶は机の上にあった。」と推諭することは"継続性を考慮した状態推論"によって可能となる。ところが、従来の自然言語理解システムや推論システムでは、このような機能は実現されていなかった。そこで、本稿では、Allenの時間推論モデル[Allen83]に、(1)「同一のものは同一時刻に別の状態になり得ない」等の規則を適用して、事象の生起時間に関する制約を付加する機構と、(2)事象の生起時間に関する制約に矛盾しない範囲で静的状態の継続期間を拡大解釈し、指定された時間における状態を判断する機構の二つを付加して"継続性を考慮した状態推論"を実現する方式を提案する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01