結合オブジェクトとその型について

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計算機システムの大規模分散化と超並列化に適応したプログラミングを行う場合、(機能的にもサイズ的にも)小さなオブジェクトを有機的に組み合わせるといったプログラミングの手法を確立することが重要である。このような多数の要素の組み合わせによって構成されるシステムを語る際には、個々の要素の性質について論じるだけでは不充分であり、それらの要素が、どのような関係で、どのように結び付いており、その結果として何が起きるかを形式化する必要がある。例えば、オブジェクト指向システムにおいて個々のオブジェクトの性質を形式化する手法として、Actors,CCS,π-calculusなどの様々な提案がなされている。しかし、実際にシステム上のオブジェクト数が膨大(数万,数十万のオーダー)になり、それぞれのオブジェクトが複雑な関係を持つに至ると、単に個々のオブジェクトの性質を規定しそれをマージするだけでは、システム全体の挙動を言い表すことにはなり得ない。すなわち、第一に個々のオブジェクトの挙動を形式化した上で、次にオブジェクト間の関係性(誰と誰がどのような関係を持つのか)を形式化するというステップが必要になる。本稿ではその第一歩として、複数のオブジェクトから構成されるラベル付き有向グラフを"結合オブジェクト(connected object)"とし、その結合オブジェクトに対する型の構成を提案する。以下、第2節で結合オブジェクトについて、第3節ではその型について、第4節では応用例について述べる。
一般社団法人情報処理学会の論文
1992-02-24

結合オブジェクトとその型について

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