段階的な並行型構文解析
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概要
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実用的な自然言語処理システムは,不適格な文(ill-formed sentence)や特殊な表現に対しても対処できる頑強さ(robustness)が必要とされている.しかし,実際のシステムの多くは適格な文(well-formed sentence)を対象としており,システムが解析可能な文の集合と人間が理解可能な文の集合の間には依然として大きな開きがある.並行型の構文解析における優先度(preference)の導入は,頑強な自然言語処理システムの構築のための一つの試みといえる.これは,これまで文法規則によって不適格と判断されていた表現のいくつかを,優先度を評価した上で受け入れることにより,解析可能な文の集合を拡大するものである.このようなアプローチで問題になるのが,辞書・文法の拡充にともない優先度の低い部分構造が多数生成されることによる性能の悪化である.本稿では,優先度の高い部分解析木候補から段階的に解析を進めることにより,解析の柔軟性を損なうことなく(時間的,領域的に)効率のよい解析を実現する手法について述べる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-09-20