触覚ディスプレイへの画像表示
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概要
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よく知られているように触覚を使った情報伝達方式として視覚障害者が使う点字がある。これは紙、金属等の平板上に突起を付け、その突起の集合によって文字を表す。点字は文字であるからこれを使って図形や画像の伝達を行なおうとすると、基本的にはそれらから抽出された意味のみしか伝えられない。しかし点字の構成要素は突起(ドット)であるのだから、それを画像の画素に対応させることは普通の文字よりは容易であるように思われる。確かにこの考え方で簡単な幾何学図形の伝達は可能で、盲学校などの教育や、地図などを点字イメージに直したもの(点図)が使われている。しかし一般的に言って点字(点図)に使われる突起の間隔は数ミリ程度であるため、素直に画像の画素を突起に対応させただけでは実用とするのには無理がある。こうした画像の画素を突起に対応させる考え方を発展させたものとして触覚読書機(オプタコンII)がある。これは小型カメラからの入力をピン(突起)ディスプレイに表示する装置で、カメラを本に向けることで読書器になる。突起の間隔は狭く密度は高いが表示エリアが小さい(5×20dot)ためもっぱら文字を読みとるために使われている。またコンピュータなどのディスプレイに向けることでコンピュータ画面を読みとることもできる。しかしこの場合カメラと触知盤を一度に操作しなければならないため両手がふさがってしまいコンピュータの操作をこの装置を使って行なうことは現実には不可能である。この装置はRS232Cによって制御可能となっており、コンピュータ上の図形情報をドットイメージとして表示することが可能である。そこで今回コンピュータ上に表示される図形情報をこの装置を使って表示するシステムを開発した。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1995-09-20