ニュース文読み上げにおけるアクセント句非抑圧要因の検討
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概要
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日本語文章を自然な合成音声で読み上げるためには、アクセントやポーズなどの韻律情報を高精度に設定する必要がある。このうち本稿では、隣接するアクセント句の接続情報(抑圧・非抑圧)設定に関して検討を行った。アクセント句は韻律上の基本単位で、ピッチパタン(基本周波数F_0の時間パタン)上に表現される。また、アクセント句のF_0最大値から話調成分(発話全体にわたる緩やかな下降成分)を除いた値が直前のアクセント句より小さいアクセント句を「抑圧(アクセント句)」、大きいアクセント句を「非抑圧(アクセント句)」とよぶ。従来から、抑圧・非抑圧は枝分かれ構造の影響を受けることが指摘されている。すなわち、ある文節B_iが直後の文節B_i+1に係る左枝分かれ構造の場合には文節B_i+1の(先頭)アクセント句が「抑圧」に、文節B_iが文節B_i+1に係らない右枝分かれ構造の場合には「非抑圧」になる。しかし、この枝分かれ構造では説明できない事例も存在することが報告されている。[4]では、修飾部が被修飾部を限定せず単に付加的な情報を付与する非限定修飾関係の場合には、左枝分かれ構造でも被修飾部が非抑圧になると述べている。しかし、これ以上厳密な非限定修飾関係に関する規定はなく、また抽出方法も述べていない。そこで本稿では、連体修飾に関する非限定修飾関係を規定し、ニュース文(ニュースで読み上げられる原稿)を対象に抽出方法を検討した。そして、抽出した非限定修飾関係の被修飾部アクセント句を「非抑圧」に設定することにより、アクセント句接続情報の精度向上を行った。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-03-07