スーパーコンピュータSXシステムに適した巨大スパース行列の固有値問題
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概要
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構造力学、分子科学、プラズマ物理学などにおいて巨大スパース行列の固有値問題を解くことが重要である。これらの解析の精度を上げるためには、行列の次元数を大規模にする必要があり、より高速で大規模な固有値問題の解法アルゴリズムの研究が行われている。一方、ベクトル計算機が本格的に稼働し、その大規模な主記憶容量および高速性を背景として、ベクトル計算機の性能を最大限に引き出すアルゴリズムの開発も盛んに進められている。本講演では、スーパーコンピュータSXシステムに適した巨大スパース行列の固有値問題の解法アルゴリズムについて報告する。巨大実対称行列の固有値問題の解法アルゴリズムとしては、中継行列を経るアルゴリズムと直接固有値を求めるアルゴリズムに大別される。前者のアルゴリズムとしては、ハウスホルダ法、ランチョス法が有名である。これらの方法は、問題の行列を中継行列として三重対角行列へ変換するものである。三重対角行列の固有値、固有ベクトルの解法アルゴリズムとしては、並列バイセクション法および逆反復法が知られている一方、中継行列を経ないアルゴリズムとしては、ベキ乗法が知られている。本研究で扱う行列は、次元数が、数百以上、スパース率か99%以上の実対称行列とする。解法アルゴリズムを評価する条件として、2次記憶装置を用いず主記憶とのアクセスだけを考えた。2次記憶装置はアクセス時間が遅いので、ベクトル計算機の性能を生かせないからである。また、高速2次記憶装置の利用が考えられるが、本研究では検討を行っていない。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01
著者
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花村 光泰
日本電気株式会社
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増田 典雄
株式会社NEC情報システムズ
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増田 典雄
日本電気株式会社 第一コンピュータ事業部本部スーパーコンピューター販売促進本部
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増田 典雄
日本電気技術情報システム開発株式会社
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野々村 仁
日本電気ソフトウェア株式会社
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津和 義昭
日本電気株式会社
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花村 光泰
日本電気株式会社 第一コンピュータ事業部本部スーパーコンピューター販売促進本部
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