各種微生物によるサルベージ合成と大腸菌無細胞抽出液による合成 : ブレディニンの研究(第4報)
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概要
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ブレディニン (Bredinin, 4-carbamoyl-1-β-D-ribofuranosylimidazolium-5-olate) はEupenicillium brefeldianum M-2166株の培養液から単離され, 免疫抑制作用を有する新規イミダゾールヌクレオシドである. 各種微生物の増殖細胞を用いて, そのサルベージ合成を試みた結果, 実験に供した微生物 (細菌50属50株, かび174属174株, 酵母19属19株, 放線菌24属49株) のすべてが, 合成アグリコンをブレディニンに転換する能力を有することを認めた. 供試株の中でブレディニン生産株であるEupc. brefeldianum M-2166株が最も高い転換率を示したので, 本株を用いてそのサルベージ発酵条件を検討した結果, アグリコンの添加量, 添加時期が大きな影響を及ぼすことをみた. プリン塩基, ヌクレオシド, およびヌクレオチドの影響をみたところ, アデニンの高濃度添加(1,000mcg/ml)により, ブレディニンのde novo発酵は完全に抑制されたが, サルベージ合成には影響を及ぼさなかった. また洗浄菌体を用いてもブレディニンは合成される事をみた. 次に供試細菌の中で最も優れた成績を示したEscherichia coli ATCC 4157株を用いてさらに詳しく検討した. アグリコンの添加時期, 培養基中のグルコースおよびリン酸塩濃度, 初発pH, プリン塩基などが, サルベージ合成に大きな影響を及ぼす要因であることを認めた. 至適初発pH6.0は, 細菌の培養としては低く興味あるものである. サルベージ合成は, アデニン添加により強く阻害されグアニン添加により促進されることをみた. E. coliの無細胞抽出液を酵素液として, アグリコンとリボース-1-リン酸をリン酸緩衝液中 (pH6.0) で反応させた結果ブレディニンは酵素的にも合成され, 反応の至適pHは6.0であった. この酵素反応はアデニンの添加により完全に阻害され, グアニンによりまったく影響を受けなかった. 一方酵素液の調製に先立ち, E. coliの培養においてアデニンあるいはグアニンを添加すると酵素活性は著しく増加し, プリン類は酵素の誘導能を持つことをみた. 以上の実験結果から, 微生物の増殖細胞, 静止細胞あるいは無細部抽出液によりアグリコンはブレディニンに容易に変換され, この反応はPurine nucleoside phosphorylaseが関与するものと推定される. この酵素の基質特異性は, アデニン, アグリコン, グアニンの順であった.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1975-08-25
著者
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