小規模私有林の経営に関する研究(I) : 全体的分析
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概要
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林業経営学のうちの1つのジャンルとして、小規模私有林に対する経営学も考えられて当然である。しかるに小規模私有林に関する研究の歴史は浅い。それは、山林保有者が資本主義的な意識をあまり持っていなかったからである。そこで、小規模私有林の経営の確立と、林業を農山村の貧困解放に役立たせようと考えた。戦後、経営耕地の零細な自営農民が大量に出現し、これら農民は、資本主義経済の流れにまきこまれて、経済状態は悪化し、年々兼業に依存する傾向にある。これを解決するには政治が問題であるが、とにかく現在を生きていくために、農家が所有している小規模私有林を、有効に利用して農家経済に資さなければならない。この研究においては、従来しばしばとられてきたところの、個々の小規模私有林に対する分析ではなく、全体からみたわが国の小規模私有林が如何なる水準にあり、農家経済にどのような役割を果しており、また発展の基盤となるものは何であるかを考究したのである。わが国の小規模私有林は資本主義的にやや遅れている。従ってこの論文においては、経済学的条件、自然的条件(林業経営においてこれらの条件を無視することはできないが)を対象外として、とくに経済的な動機のみにしぼった。なお、交通の発達した現今においてはこれを除いても致命的ではないと考えたので、一応市場距離の問題も省略した。小規模私有林の発展の方向は、主として育成林業(人工林化)にあると考えて、論考をすすめた。
- 日本森林学会の論文
- 1965-04-25
著者
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