ヒノキの落葉とエチレン生成
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概要
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殺虫剤, fenitrothion(MEP)や植物ホルモンなどにより生ずるヒノキの落葉とエチレン生成速度の経時変化をしらべ, 鱗片葉の離脱コントロールにおよぼすエチレンの役割を検討した。MEPによる落葉感受性ヒノキ(SH)はMEP散布のほか, IAA, GA_3,ABAなどによってもエチレン生成速度は経時的に増大し, ひきつづいて落葉が生じる。L-メチオニンの枝切口からの吸収やエスレルの散布はSHのみならず非感受性ヒノキ(NSH)にもエチレン生成を促し, 落葉をひきおこす。SHへのMEP散布12時間前のシクロヘキシミド処理は, MEPにより誘起されるべきエチレンの生成を完全に阻害し, 落葉を抑制する。一方, MEP散布92時間後のシクロヘキシミド処理は, MEPに起因するエチレン生成速度の増大を阻害しうるが, MEPによりすでに促された離層形成を抑制することはできない。ヒノキはSH, NSHにかかわらずエチレンに対する落葉感受性を有し, エチレン生成速度が促された場合には, MEP非感受性ヒノキであっても落葉をおこす。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1984-08-25