土石流の発生と流動に関する研究

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本研究は, 山林地の荒廃に伴う裸地斜面や渓谷の堆積土砂(火山灰も含む)が, 降雨の浸透と流出によって崩廃, 流動して土石流が発生する過程と, その土石流が山間部で逐次, 合流しながら流下していく過程ならびに, 流動状態における土石流先端部の運動特性等を理論的, 実験的に追求して, 土石流の発生予知と流下時の防災対策に関する一連の基礎的資料を得るために行った。その結果, 次のような知見が得られた。(1)斜面における流出に関する連続と運動の式を解き, 表面流の発生時間, 発生限界, 表面流の水深を規定する式を導いた。(2)斜面の安定条件には粘着力の効果が無視できないこと, および土石流の発生条件には動的な力を考慮する必要性を指摘した。(3)土石流の発生条件として, 表面流発生条件の式を適用し.実験結果がよく説明できることを示した。(4)土石流の流動土砂量は降雨による表面流の20倍近くにも達することを理論的に示した。(5)土石流の合流過程の実験結果から, 後続の土石流段波は伝播速度が速い場合, 前方の段波に追いつき, これを巻き込んだ後, 比較的短時間のうちに新たな定常速度となって流下する。(6)このさいの段波の伝播速度は, 近似的に水のみの理想段波の式で表わされることを示した。
日本森林学会の論文
1982-02-25

土石流の発生と流動に関する研究

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