荒廃渓流における渓間工事の効果
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概要
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一般に, 山地における自然災害の実態を, 現地で広範囲にかつ過去にさかのぼって調査することは, 経費や労力の面からも難しい問題である。本文では, 実際に土砂災害が発生した山地にその後いろいろな治山工事が施工された場合, これらの施設が施工後にどのような効果を発揮しているかを調べるために航空写真を利用した。その結果, 航空写真は過去の災害資料や現地調査を組み合わせて利用すれば, 非常に便利でかつ有効な解析手法の一つとなることが実証された。そして, 荒廃渓流に設置される治山ダムは, 規模が小さくても堆砂地の容量が大きい場合には, 渓床勾配の緩和や川幅の拡幅変動ならびに流路の偏角などを規正したり, 上流からの流出土砂を洪水時に一時的に貯留してその後の中小の出水時に徐々に堆砂土を流出させる土砂流出調節の効果などがあることが示された。さらに, 荒廃渓流における治山工法としては, 山腹工と渓間工を系統的に組み合わせて流路や斜面の安定化と山腹の緑化を図るなどの水系山地の一貫した治山計画の必要性が指摘された。
- 日本森林学会の論文
- 1983-12-25
著者
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