マツケムシヤドリアメバチのマツカレハに対する寄生の周年経過
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概要
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3年間にわたる野外調査とマツカレハ幼虫の定期的採集・飼育により, 幼虫寄生蜂マツケムシヤドリアメバチの寄生の周年経過を明らかにした。本寄生蜂は毎年10月中旬頃よりマツカレハ幼虫に寄生し, 寄主体内で越冬して翌春3月中旬〜4月中旬に寄主(5齢幼虫)を食いつくし営繭した。さらに4月中旬〜5月上旬に寄生し5月下旬〜6月中旬に寄主(7〜8齢幼虫)をたおした。以上の寄生経緯とは別に, 年によって9月中旬〜10月中旬に寄主の若齢幼虫をたおすのが観察された。本寄生蜂は, 春〜初夏における寄主の幼虫期後期の死亡要因として重要な位置を占めたが, 秋には大きな死亡要因となっていない。本寄生蜂は, マツカレハの終齢幼虫期〜卵期あるいは若齢幼虫期にあたる夏〜秋には, 代替寄主に依存しているものと推察された。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1980-10-25